【勘違い女化計画】

僕は今、壮大な計画の実行段階にいる。

そう、勘違い女化計画である。

 

僕には彼女と呼べる存在がいる。勿論、この彼女は僕にとってはただのモルモットでしかないのだが…

彼女は、元々交際していた男性からデートDVを受けていた。元々鬱病を患っており、無気力状態や希死念慮を抱く事はあったらしいが、デートDVのせいもあってか、僕と出会った時には自己肯定感や自尊心というものは全く見られなかった。

そんな彼女に私は救いの手を差し伸べた。それは決して彼女に同情した訳だからでは無い、いい被検体になると思ったからである。

そして私は彼女の相談に乗り、話し合いをし、当時の交際相手と別れさせた。

勘違い女化計画のスタートである。

まず計画の一環として、毎日ことある事に「可愛い」と彼女に言い続けている。容姿、言動、嗜好、行動、全てを可愛いと褒めた。とにかく褒めるのだ。

その効果はしっかり現れており、近頃では「可愛いってもっと言って欲しい」と、向こうからねだるようになってきたり、頻繁にメッセージが送られてきたり、自撮りを送られてきたりするようになった。

また、計画の一環として、彼女の全てを肯定した。行きたいと言った映画や水族館、美術館等はどれだけ興味がなくてもついて行き、毎回「新しい発見があった」「教えてくれてありがとう」と発言をした。他にも食べたいもの、着たいもの、やりたい事など、彼女の選択一つ一つを認め、肯定してきた。

こちらもしっかりと効果はあるようで今でも行きたい所が次々と送られてくる他、体調が不安で参加を見送るという旨の連絡すらしてくれるようになるほどまでになった。

 

彼女は自分の好きな服を着て、自分の好きな場所に行き、自分の好きな食べ物を食べることができるようになった。

とても健康的な生活をおくれていると人々は思うだろう、勘違い女化計画の一環だと知らなければ。

勘違い女化計画はこれから佳境を迎える。

僕はこれから更に彼女にずっと可愛いと言い続け、彼女の全てを肯定し続け、彼女の自己肯定感と自尊心を指数関数的に上げていく。その結果、どうなるか、膨れ上がった自己肯定感と自尊心は自分の今置かれている状況に満足できなくなり、更に好条件を求めることになるだろう。

今は「可愛い」を求める私でさえあっさりと捨て、イケメンやエリートの男を漁りはじめるのだ。なんと素晴らしい事だろう。

このようにして勘違い女を作成するのだ。

僕が作る勘違い女は大久保公園やトー横にいる女性とは一味も二味も違う。例にあげた彼女達は自分の肉体と若さと美しさにしか価値を見いだせてない。そうじゃないのだ、僕の作る勘違い女は自分の全てに価値を見出してる。シミも白髪も、歳をとっていく事すらも全てに価値を見出させる程に僕は彼女の事を可愛いと言い続けるのだ。

計画はまだ、始動してから1年も経っていない。ここまで順調に来たと考えてはいるが、いつ僕の被検体がダメになるかも分からない。

だからこそ、この記事を読んで協力してくれる者が現れたのなら、僕の被検体がダメになった時の為のデバックとして、あなたの近くにいるサンプルを用いて勘違い女化計画を進めて欲しい。被検体になり得るのならどんな個体でも構わない。貴方の子でも親でも友達でも誰でも構わない。勘違い女化計画が1例でも多く成功さるのを心より願っている。